「勇敢な検事がシチリアを牛耳るマフィアと戦う」という実話をもとにした衝撃的な映画を紹介します。
FALCONE(イタリア語)
Amazon Prime Videoに加入していれば日本語字幕版を閲覧できるはずです!!
パリの屈辱
わたしはFALCONE(以下、ファルコン)を観てナポレオンを思い出しました。
皇帝ナポレオンの正統性は、人民投票によって生まれたものでした。ローマ法王をパリに呼びつけたナポレオン一世は、戴冠式で法王に跪くでもなく立って自らこれを頭上に頂いたのでした。
ナポレオン一世の戴冠式の時の様子を描いた作品は、ルーブル美術館に展示されています。(作品名:Couronnement de l’Emoereur et de l’Imperatrice)
参考 「ナポレオン一世の戴冠式」戴冠式とは?メルシーパリ.ネット人民に選ばれたナポレオンのパワーは、旧時代の戴冠式の慣行を吹き飛ばすほどのものであったわけですが、伝統主義の中世においてはまさに「ありえないこと」でした。
しかし民衆のパワーはいつでも利用できるわけではありませんし、むしろナポレオンの不遜ともいえる態度は、独裁者を誕生させるボナパルティズムとして批判的なまなざしにさらされることもしばしばです。
なぜ?ナポレオンの話をしたのかというと・・・・
民衆の力
マフィアの力は絶大です。政治の中枢にまでその影響力は及んでいます。せっかく逮捕したマフィアがすぐに釈放されるという摩訶不思議な状況ですら、当時のシチリアでは珍しくありませんでした。
当時のイタリア国民はその状況に苛立ちながらも、自分の命を危険にさらすのも怖いという気持ちと葛藤していました。
「マフィアと戦っても無駄」という諦めムードが蔓延していたし、マフィアと戦おうとする人たちは「空気の読めないやつ」として疎まれていました。
諦めムードを変えたのはなんだったのでしょうか?それは「明日は我が身」という危機感でした。
「自分には関係ない」と思うことのできるうちは、マフィアによる犯罪が発生しても無視できます。しかし無視できないとわかったとき、はじめて民衆は決起するのです。
最終的にシチリアマフィアを鎮圧したのは国から派遣された7,000人もの軍隊だったわけですが、軍隊を動かしたのは間違いなく民衆の怒りだったのです。
何かを勝ち取る
今から考えれば、近代資本主義が成立した時から一部の人間に富が集中することは明らかだったように思えます。
なぜならばお金の価値を守るためには、軍隊・政治家・官僚制度・法律などが必要になり、それらの権力は格差を広げる役割を果たすからです。
政治と経済の歴史的な関係について興味がある方は、以下の記事を参考にしてください。
実際問題として、日本でも所得1億円を超えるお金持ちほど税優遇されているという現実があります。
どうすればお金持ちほどますますお金持ちになる現実や、権力者ほどますます権力者になる現実に歯止めをかけることができるでしょうか?
そのヒントはファルコンの中に隠れています。是非とも鑑賞してみてください!!