不労所得で堕落する人

職人芸

トマ・ピケティ(フランスの経済学者)は、著書『21世紀の資本論』で「資本収益率が所得成長率より高い」ということを主張しました。

トマ・ピケティの主張をひらたくいうと「資産家が資産を運用して儲けるほうが、労働者が汗水流して働くよりも儲かる。」ということです。

とはいえ、わざわざトマ・ピケティに指摘されずとも資産がお金を生むという『不労所得』の魅力に気づいている日本人は多いです。

不労所得がほしい!

資産のタイプによって資産家の呼び名はさまざまです。

資産が「不動産」であれば「不動産オーナー」といわれます。一時期『サラリーマン大家』という言葉も流行しました。

また資産が「金融資産」であれば「投資家」といわれます。株式、FX、投資信託、仮想通貨(ビットコイン)などは常に注目されています。

さらに資産が「情報」であれば「インフルエンサー」といわれます。ブログ、YouTube、Twitter、インスタグラムなどで影響力をもつことに憧れる人も多いです。

さらにさらに資産が「ビジネス」であれば、「カリスマ創業社長」といわれます。有名女優と月に旅行するのも現実的な目標にすることができます。

何を隠そう、わたしも「不労所得」の響きに憧れたうちの一人でした。

わたしは会社員として9時から朝の2時、3時まで働くことが当たり前の環境にいたので、高収入の待遇であっても満足することができませんでした。

そのためある日「これだけ働けるんだったら、リスクがとれるうちにリスクをとって脱サラしたほうがいいんじゃないか?朝9時から2時、3時まで働けるなら成功できるんじゃないか?」という気持ちが抑えられなくなり、自分のビジネスのために自分の命を削る道を選んだのです。

結果、「そこそこ」稼ぐことに成功しました。しかし気づかぬうちに、想像していなかった状況に陥ったのです。

もう働かなくてよくね?

わたしはブログで情報発信して収入を得るということに挑戦しました。

1日中がむしゃらになって記事を投稿するという生活を続けた結果、朝起きたらすでに売り上げ7万円ということも珍しくない生活を手に入れました。

わたしが喉から手が出るほど欲しかった結果だったので、はじめは飛び上がるぐらい嬉しかったのですが、少しずつ状況は変わってきました。

働かなくても不労所得が得られるという状況に慣れた結果、、、、、、、、わたしの労働意欲はゼロになってしまったのです。

労働意欲がゼロになった結果、わたしは夜更かしして昼まで寝てしまったり、昼からお酒を飲んでグダグダしたり、1日中漫画を読むなどして『廃人』になってしまったのです。

わたしにとっての幸運は、廃人生活も長くは続かなかったことです。ある日わたしを心配してくれた友人と飲んでいる時に、「最近何しているの?」と質問された時に、言葉につまってしまったのです。

結果、わたしは「俺はダラダラして何をしているんだろうか?」と腑抜けたライフスタイルを見直したくなったのでした。

その時のわたしが真剣に考えたことは「どうすれば労働意欲を落とさずに豊かな生活を実現できるだろうか?」ということでした。

とはいえ、真剣に考えたものの当時のわたしには納得のいく答えは見つかりませんでした。「明日死ぬかもしれないから、毎日頑張って生きることが大事なんだ。」という、いまどき自己啓発本にも書いてなさそうな理解をするので精一杯でした。

しかしRICHな生活を実践する今のわたしが過去の自分にアドバイスするならば、意外な角度からアドバイスすると思います。そのアドバイスとは「資本主義を勉強しろ!」です。

日本人は資本主義を知らない

日本人は水はタダ(無料)、きれいな空気もタダ(無料)だと信じて疑いもしません。

同様に、戦後日本に資本主義を注入しようとしたアメリカ人も「資本主義は空気のように当たり前のようにそこにあるもの」と誤認していたのです。

おそらくあなたは「資本主義は、お金があれば自然発生的に生まれるもの。」と漠然と理解していると思いますが、まったくもってそんなことはありません。

資本主義が生まれる前の時代に、お金持ちの国はたくさんありました。しかし資本主義は生まれなかったのです。

例えば、15世紀のフィレンツェで銀行業を営んだメディチ家は2人の法王、2人のフランス王妃を出した超名門一家であり大富豪ですが、そのメディチ家よりも5倍以上も富があったといわれる一家がありました。

その名前は『フッガー家』です。フッガー家は世界の富の10分の1を所有したのですが、残念ながら資本主義は生まれなかったのですが、同様の事例は世界中にあります。

なぜ?資本主義が生まれなかったのでしょうか?

マックス・ヴェーバー(ドイツの政治学者・社会学者・経済学者)によれば、資本主義が生まれるためには「エートスの変換」が必要だというのです。

エートスとは日本語にはない言葉ですが、『行動様式』と訳されることが多いです。ちなみに行動様式というと、外面の行動のことをだと思われてしまいがちですが、そうではありません。エートスとは、外面の行動のことのみならず、内面にある信念、思想などを含んだ概念です。

資本主義が生まれる前の時代のエートスは、「金は自分の生活を支えるのに必要な分だけ稼げばいい。」というものでした。ですから職人は週のうち1日、2日だけ働き、日銭を稼いだらあとは家でゴロゴロしていました。(過去のわたしもそうだった!)

日本でも江戸時代には「宵越しの金は持たぬ」という言葉もあったように、手元にあるお金はその日のうちに全部使ってしまい、お金がなくなったらまた稼げばいいという心持ちで生活していました。(過去のわたしもそうだった!)

しかし西洋では中世から近代になるタイミング、日本では江戸時代から明治に入ってしばらくしてからのタイミングで、それまでのエートスがガラッと変化したのです。結果、資本主義が生まれました。

どのようにしてエートスが変わったのか?という解説をすれば、それはそれなりに面白いと思うのですが、解説をはじめれば脱線して元に戻ってこれなくなりそうなので、今回の講義では「結果」だけお伝えします。

お金持ちになれるエートス

RICHのエートス3箇条
  1. 天職
  2. 倹約
  3. 適正価格

#1)天職

天職という言葉は資本主義が生まれる前に誕生した言葉です。

天職という言葉が生まれる前の中世の時代は、靴屋の息子は靴屋、農奴(のうど)の息子は農奴になるという伝統主義が絶対視されていました。

しかし「人様の役に立つならば伝統主義を破って別の職業を選択するのも神さまの思し召し」という意味で「天職」という価値観が広まったのです。

キリスト教信者でない日本人にはすぐに理解できないかもしれませんが、キリスト教信者(プロテスタント)にとっての「天職」とは、もの凄い意味をもっています。

キリスト教信者(プロテスタント)は、わたしたちの人生はわたしたちが生まれる前から神さまがプログラミングしたものだと本気で信じています。

ですから、「わたしたちが選んだ職業も神さまが選んでくださったものに違いない」と考えたのです。

ここで少しキリスト教信者(プロテスタント)の気持ちになって次の質問を考えてみてください。

キリスト教信者のあなたは神様が選んでくれた『天職』をサボれるでしょうか?マジメに働かない信者が救われるでしょうか?

キリスト教信者(プロテスタント)は、天職はサボるわけにはいかない、マジメに働かなければいけない、と考えたのです。

結果として、金は自分の生活を支えるのに必要な分だけ稼げばいい。という価値観は上書きされて跡形もなくなり、キリスト教信者(プロテスタント)は猛烈に働いたのです。

#2)倹約

プロテスタントの思想を世に広めたカルヴァンは、倹約を徹底させました。

どれくらい倹約を徹底させたかというと、「地元の赤ワイン以外は飲んではいけない。」、「たとえ酒を飲んでも酔っぱらってはいけない。」という禁止令を出したぐらいです。

禁止したのは酒だけではありません。絹の衣装は禁止、宝石類も禁止、お菓子も禁止、獣肉や鶏肉も禁止、芸術(音楽、彫刻等)も禁止、クリスマスも「聖書にそんなものは書かれていないから」という理由で禁止しました。

ジュネーブの当局から要請されて市民の信仰生活を指導する役割だったカルヴァンの命令に背けば「刑罰」が与えられましたし、カルヴァンの教えを非難しようものなら「死刑」でした。

マジメに働いているのに倹約したらどうなるでしょうか?もちろんお金は黙っていても貯まっていきます。

カルヴァンはお金の亡者のごとく活動するキリスト教カトリックを痛烈に批判しましたが、結果としてカルヴァンの思想は信者をお金持ちにしてしまったのでした。

#3)適正価格

キリスト教では儲けることを頑なに禁止していました。とはいえ、なんでもかんでも無料でやれ!とはいっていません。あくまでも暴利をむさぼってはいけない。と主張しているだけです。

つまり適正価格で商品・サービスを売るのであれば問題はないのです。

適正価格の考え方を導入する前までは「儲ける」≒「罪悪感」という図式があったし、同じ商品・サービスでもお金持ちには高く売り、そうでない人には安く売るということがまかり通っていたのですが、そのようなエートスは「適正価格」によって上書きされたのです。

ズバリ新しいエートスは「(適正価格で)儲ける」≒「隣人愛の実践」です。

つまり適正価格で儲ければ儲けるほど、他人が求める商品・サービスを提供した証になるため、ますます働くことが正しいことになったというわけです。

クイックチェック

日本は官僚主義、社会主義、資本主義が混在している摩訶不思議な国です。

ですからお金持ちになるためには、官僚になり出世して天下るか、権力者とお友達になるか、反社会的勢力のなかで出世するか、資本主義で成功するしか選択肢はありません。

あなたにとって一番現実的な選択肢は、「資本主義で成功する」だと思いますから、資本主義が誕生した背景についての知識はいつか必ず役立つと思います。

さて、あなたがRICHにまた一歩近づくために、以下の質問に真正面から答えてみましょう。

質問1)あなたは「ぴったりの職業」(仕事)に従事しているでしょうか?明日働くのが待ち遠しいという感覚や、マジメに働かないと罰が当たるという実感をもっているでしょうか?

質問2)あなたは「倹約」しているでしょうか?「宵越しの金は持たぬ」の精神で、働いたお金を使おうがわたしの勝手!という態度でお金を使っていないでしょうか?

質問3)あなたは「お金持ち」≒「敵」だと信じていないでしょうか?お金持ちからであればボッタクってもいいと思っていないでしょうか?他人のために働くということを忘れて楽して稼げればそれでいいと思っていないでしょうか?

函館の修道院

函館に旅行した時、トラピスチヌ修道院のお土産屋さんでクッキーを購入しました。

ほとんどの観光客は修道院でクッキーやマドレーヌを販売する目的は「商売」だと思っているようでしたが、本当の目的は「修行」です。

もう一度、RICHになるためのエートス3箇条を眺めてみて下さい。

RICHのエートス3箇条
  1. 天職
  2. 倹約
  3. 適正価格

上記3つを実践することは、頭ではわかっていても、昔のわたしにとっては雲をつかむような話でした。

そもそも天職が何かわからないし、倹約も難しいし、脱サラした後に開発した自社商品を適正価格で売ることにも心理的な抵抗感が強かったのです。

もしかしたらあなたも過去のわたしのように「わたしに実践できるかな?」と暗い気持ちになっているかもしれませんが決して勘違いして欲しくないことがあります。それは、、、、、

キリスト教信者(プロテスタント)にとって上記3箇条がすべて『修行』の一環だったことを理解すれば、「RICHのエートス3箇条を実践することはカンタンではない」というのは当たり前のことなのです。

覚悟を決めて3箇条を実践し続ける人はRICHに近づけますが、、、、、

その一方で、天職を見つけることも諦める、お金があれば使うしなければ使わない、楽して生きていきたい、という人がRICHになることはないでしょう。少なくともわたしはそう思います。

最後に

あなたは「いつまでRICHのエートス3箇条」を守ればいいの?と疑問に思ったかもしれません。ズバリ答えは「死ぬまで」です。

残酷な答えだったかもしれませんが、少なくとも当時の資本主義者たちは行動的禁欲(天職をまっとうするために、あらゆることを禁欲すること)を死ぬまで実践しました。

なぜならば、当時の資本主義者たちのモチベーションは死んだ後に最後の審判で救ってもらうことだったからです。

受験勉強であれば1年か2年で結果はでますが、キリスト教信者にとっての合格発表は「死んだ後の最後の審判」だったので、死ぬまでサボることができなかったのです。

今回の講義でRICHになりたいあなたにお届けする最後のアドバイスは「行動的禁欲を実践するためにもあなたの人生を賭ける価値がある夢を描け。」ということです。あなたの成功を祈っています。

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