時代屋の女房 ~ 昭和の男と女の愛

時代屋の女房

あなたは何歳の時から記憶がありますか?

わたしの幼少時代の記憶は「団地に住んでいた時代」からはじまります。

団地に住んでいたころの記憶を思い返すと、現在(令和)とのギャップがあまりに大きいことに驚かされますが、本日フォーカスしたいのは「昭和の時代の男女関係」です。

時代屋の女房

あらすじ

公園で拾った猫を預かってほしいとある日突然、骨董品屋にあらわれた美女、真弓(役:夏目雅子)と独身男、安さん(渡瀬恒彦)の恋の物語。

見どころ(ネタバレあり)

安さんは、ふらっと時代屋にあらわれた真弓と夫婦同然の暮らしをするのですが、安さんは真弓の身の上のことを詳しく知りません。

平成の時代には、「ソクバッキー」(束縛男)という言葉が誕生しましたが、昭和の男である安さんは真逆の態度を貫くし、結婚するそぶりも見せません。

なぜならば安さんは「とある事情」(映画で描かれます)により、「結婚」というものが、そもそも「愛とは何も関係のないもの」であることを理解していたからです。

さて、現代では結婚は「愛の証」として認識されています。ですから「結婚が愛とは関係がないなんて本当なの?」と思うかもしれませんね。

しかし結婚が「愛の証」として認識されるようになったのは19世紀中ごろからであり、人類の長い歴史からみれば歴史の浅いものであることは覚えておくといいでしょう。

昭和の時代においても、愛は「法律の外」にあるものでしたし、お見合い結婚に代表されるように、愛は「結婚してから築くもの」だったのです。

以上のような前提知識をもって、安さんの立ち振る舞いを観察すると、平成の男が失ってしまった「何が」があることを実感することができるはずです。