『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)という映画作品を鑑賞しました。
この映画作品は、エッセイスト・森下典子による自伝エッセイ『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』を原作としていますが、黒木華さん、多部未華子さん、樹木希林さんなどの素晴らしい女優さんが登場している素晴らしい作品です。
日日是好日 (予告)
これ以降の内容は、ネタバレも含みますのでご注意ください。
ノリコのIKIGAI
わたしはこの作品を鑑賞しながら『生きがい』という日本語を思い出しました。
脳学者である茂木健一郎氏は「IKIGAI」という書籍で外国人向けに「生きがい」の5本柱を紹介しています。
- Starting small
- Releasing yourself
- Harmoney and sustainability
- The joy of little things
- Being in the here and now
映画『日日是好日』はまさに・・・・
主人公のノリコが軽いノリではじめた茶道を通じて(1.小さくはじめること)、
自分にしかわからないような小さな成長を楽しみ(4.小さな喜び)、
社会的な意味を追求できない自分への嫌悪感から解放され、(2.自分からの解放)、
茶道を24年以上も継続した末に(3.調和と持続可能性)、
日常の中にある幸せを噛みしめる域に達するという物語です。(5.今ここにいること)
なぜ?このような話をしたのかというと・・・・
それって意味あるの?病
世界的に「意味」を信じることへの不透明感がますます強まっています。
意味は「物語」とも言い換えられます。就職すれば、恋愛すれば、結婚すれば、幸せになれる・・・というやつです。
しかし映画『日日是好日』でも描かれていることですが、就職すれば、恋愛すれば、結婚すれば、幸せになれる保証はどこにもないのです。
主人公のノリコが茶道をはじめる大学生の時点において、ノリコはそのことを知りません。茶道の作法についてイチイチ「その作法にどんな意味があるのですか?」と質問してしまうほど「意味を追求する癖」が身に沁みついてしまっているのです。
「意味があると信じることができればそれに挑戦するが、意味が理解できなければそれに挑戦しない」というスタンスは、現代日本人にも顕著な態度ですが、なんでもかんでも意味がすぐに理解できるとは限らないのです。
作品の中でタケダ先生(演:樹木希林)が「(五感で)感じる」ことの大切さを説いていますが、同様のアドバイスはブルース・リーの名作『燃えよドラゴン』でも登場しますよね。「考えるな!感じろ!」(don’t think feel)というやつです。
何かしらの意味が見つからなければ自分には価値がないと思うような態度は、逆に自分を苦しめることにもつながるということは自覚するべきでしょう。
幸せになるために意味を追求するのに、意味を追求するがゆえに自分で自分を苦しめるのだとすれば本末転倒ではないでしょうか?
日日是好日
『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)は、中国の唐未から五代にかけて活躍された大禅匠、雲門文偃(うんもんぶんえん)禅師の悟りの境地を表した言葉です。
直訳すれば、「毎日いい日が続いてけっこうなことだ」というような意味になりますが、そのような浅い意味ではありません。群馬県にある達磨寺による解説によれば・・・・
一般に私達が、今日はよい日だ悪い日だという場合、天気だけでなく、お金が儲かった・損をした、よいことがあった・嫌なことがあったなど、そんなものさしで判断します。
しかし、これは優劣・損得・是非にとらわれた考え方です。それではたとえ、ある日幸運が訪ずれても、その後に来る不運に脅えなければなりません。
日々是好日とは、そんなこだわり、とらわれをさっぱり捨て切って、その日一日をただありのままに生きる、清々しい境地です。たとえば、嵐の日であろうと、何か大切なものを失った日であろうと、ただひたすら、ありのままに生きれば、全てが好日こうにちなのです。
【引用:達磨寺】
もしあなたがこのような境地に至れば、毎日幸せを実感できるでしょう。ですから是非ともあなたにも『日日是好日 』を感じてほしいと思います。
とはいえ、文字による説明には限界があります。なぜならば文字こそが「意味そのもの」であり、感じることからあなたを遠ざけてしまうからです。
是非とも映画『日日是好日』を鑑賞してみてください。そしてあなたが何かを感じ、頭ではなく心で『日日是好日』を感じることを願っています。