京極夏彦の人気シリーズ小説『姑獲鳥の夏』(うぶめのなつ)に続いて映画化した作品です。
主人公の古本屋店主でもあり神主でもあり陰陽師でもある、中禅寺明彦(演:堤真一)が、「この世に不思議なことなど何もないのだよ。」といいながら難事件を解決していくミステリー作品ですが、同時に「信じる狂気」に恐怖する体験を提供してくれる作品でもあります。
魍魎の匣(予告編)
あらすじ
原作は文庫本で上・中・下の三巻もあるので、そのままなぞって映画化しても上映時間がいくらあっても足りません。
そこで監督・脚本の原田眞人(はらだまさと)は3つの事件を軸に、原作を大胆に整理しました。
1つ目の事件は『映画女優の娘が誘拐されて失踪した事件』、2つ目の事件は『少女のバラバラ連続事件』、3つ目の事件は『駅のホームに少女が落ちて電車に轢かれて重傷を負った事件』。
それぞれの事件は、私立探偵の榎木津礼二郎(演:阿部寛)、小説家の関口巽(演:椎名桔平)、刑事の木場修太郎(演:宮迫博之)が追っているのですが、それらのすべてが最終的には主人公である京極堂(演:堤真一)のもとに収れんされていき、すべての謎が明らかになる・・・・というストーリーです。
見どころ(多少のネタバレあり)
原作のもつ怪しい独特の雰囲気が再現されている点が見どころの一つです。舞台になっている50年代初頭の東京を再現するために、中国の上海をロケ現場に選んでいるそうです。
また本作のキーとなる巨大なハコ型をした研究施設の壮大な建物は、セットだけでなくCGなどの最先端技術を使って再現されている点もみどころです。
さらに主人公堤真一が「この世に不思議なことなど何もないのだよ。」というセリフからはじまる迷いのない爽快な弁舌にも目が離せません。特に新興宗教の教祖のインチキを暴くだけでなく、豊富な知識を武器にして教祖とその仲間たちを逆にやり込めてしまうシーンなんかは爽快そのものです。
しかし最大のみどころは、「自分が信じていること」にすべてを捧げる登場人物の描写が鬼気迫るというところではないでしょうか。(続きは・・・ネタバレのオンパレードのため、会員制ブログ『輝のノート』で公開しています。登録は無料ですので興味がある方は是非とも登録してください!!)