「幸せになりたい」と願う人のなかには、幸せになれない原因を無意識に「社会が悪いからだ」と考える人もいます。
もちろん現代社会のいろんなところに理不尽が転がっているわけですが、仮に「誰もが幸せになる社会」があれば人間は幸せになれるのでしょうか?
そのようなことを考えるのにうってつけの映画を紹介します。
THX – 1138(予告編)
1971年(昭和46年公開)の映画なので、YouTubeにアップされている予告動画は英語版のみでした。Amazonプライムに契約されている方は、そちらに日本語verの予告編があるはずなので参考にしてください。
あらすじ
25世紀の未来社会。地上は破壊され、人類は地下に広がるシェルターで暮らしている。シェルターのなかは、コンピューターの厳重な監視のもと、人々は名前すら持たず番号で管理されており、精神安定剤の服用を義務付けられながら仕事をしていた。
主人公THX – 1138と女性ルームメイトのLUH – 3417は、自らの意思で薬の服用をストップし、やがて愛し合って禁止されている肉体関係を交わすのだが、罪を犯した二人は引き離されてしまうのだった。
投獄されたTHX – 1138は、LUH – 1138を求めて逃亡を決心するのだが・・・・・
みどころ(ネタバレあり)
多くの人はこの映画のみどころは「逃走するシーン」だと主張するでしょうが、わたしの場合、この映画の見どころは「逃走する前」にあると思います。
核戦争後、人々は放射能だらけになった地表を避け、地下シェルターで暮らしています。主人公は書庫にこもり、資料を読む限りでは地表に出れば死んでしまうことを知ります。
しかしそこで暮らす人々にとっては、その「人類の歴史」が本当かどうかすらわからないわけです。
主人公は「それでも外に出たい」と願うわけですが、外にでることは禁止されているため、警備をかいくぐって外に出れるかはわからないし、外に出られたからといって幸せになれる保証もありません。
「自分が主人公ならどうするかなぁ~??」と思いながら、作品を鑑賞しつつ、自分の心と対話するのがこの作品の醍醐味だといえるでしょう。